2024年10月
2024年秋季学術講演会放射線分科会学生講演賞・学生ポスター賞の選考結果
2024年秋季学術講演会放射線分科会学生講演賞、学生ポスター賞の選考委員会を2024年10月25日にオンラインで開催し、それぞれ9件のエントリーから以下の通り受賞者を決定しましたのでご報告申し上げます。
学生講演 最優秀賞(1件)
受賞者: 供田 崇弘 (金沢大学)
受賞対象: [17a-D62-5] 肝疾患評価を目指したフォトンカウンティングCTによる脂肪肝ラットの生体外イメージング
〇供田 崇弘1、有元 誠1、佐藤 大地2、Fitri Lucyana1、伊藤 優希1、大島 美礼1、古田 優1、川嶋広貴1、小林 聡1、奥村 健一朗1、片岡 淳3、皆川 遼太郎3、寺澤 慎祐4、塩田 諭4 (1.金沢大学、2.東北大学、3.早大理工、4.プロテリアル)
学生講演 奨励賞
受賞者: 該当なし
学生ポスター 最優秀賞(1件)
受賞者: 高橋 玲央 (都立大)
受賞対象: [18p-P01-15] PHITSによるポリエチレンコンバータとBeOセラミックス板を用いた高速中性子測定法の検討
〇高橋 玲央1、松本 真之介1、田中 浩基2、若林 源一郎3、川根 充貴1、眞正 浄光1 (1.都立大、2.京都大、3.近畿大)
学生ポスター 奨励賞(1件)
受賞者: 大島 美礼(金沢大)
受賞対象: [18p-P01-17] 動態イメージングに向けた1024ch 2次元MPPC based PC-CTシステムの開発と性能評価
大島 美礼1、有元 誠1、供田 崇弘1、Fitri Lucyana1、古田 優1、片岡 淳2、皆川 遼太郎2、寺澤慎祐3、塩田 諭3 (1.金沢大、2.早稲田大、3.プロテリアル)
選考過程
2024年9月の2024年秋季学術講演会における分科会会員である学生の発表に対し、審査を行った。選考委員会 委員は以下の5名であった:黒澤俊介(東北大、委員長・放射線分科会 副幹事長)、 豊川秀訓(幹事長、高輝度セ)、加瀬裕貴(静岡大、庶務担当幹事)、村上力輝斗(東北大、庶務幹事)、板津英輔(セイコー・EG&G、庶務幹事)。なお、選考委員が共著となっている発表に関しては、評価には関わっていない。選考委員会の報告を受けて幹事長が対象者を決定した。
令和7年度「近畿大学原子炉等利用共同研究」課題募集のご案内
1.趣旨
近畿大学には熱出力1Wの教育研究用原子炉があります。
この原子炉を利用した照射・実験及びこれらに関連する共同研究を推進する計画を募集します。
2.申請資格
国・公・私立大学、国・公立研究機関及び独立行政法人機関の教員・研究者又はこれに準ずる者
3.募集要項
次のURLにアクセスして、募集要項等をご確認ください。
・募集要項等
https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/aeri/guide/external-use/
・近畿大学原子力研究所のホームページ
https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/aeri/
4.申請期限
令和6年 12 月 20 日(金)〔期限厳守〕
・本件に関する問い合わせ先
近畿大学原子力研究所管理室(genken@itp.kindai.ac.jp)
開催報告:2024年度 第1回 医療放射線技術研究会 「放射線医療分野におけるデータサイエンス」
本会は、放射線物理の医療応用について情報交換することを目的としており、今回のテーマは「放射線医療分野におけるデータサイエンス」とした。
本会はこれまで年2回夏冬の時期で、首都圏の東京都立大で開催していた。開催地を理由に参加できていなかった方々や、新しい分野の研究者・医療人との交流の機会を設けるため、初めて大阪大学で開催した。データサイエンスは、数学/統計学/計算機科学/人工知能(AI)等を横断的に活用して膨大なデータから有益な知見を導き出す学問である。一方で、応用物理学会学術講演会の大分類「放射線」に属する発表では、こういった発表はそれほど多くなかった。そこで放射線分野の特徴的技術であるモンテカルロシミュレーションと、AIを駆使した医療データ・画像処理技術などを結びつけるような議論が出来ないかと考え、それらに焦点を当ててバランスよく情報を収集できるような会を企画した。会前半の3名は主に物理系の先生方、後半の3名は主に医用画像を専門とする先生方にご講演をお願いしてプログラムを構成した。質疑応答では活発な意見交換がなされ、盛会のうちに終了することが出来た。現地参加者は若手・中堅の方が多く、オンライン参加者も担当幹事の面識のある方々の範囲内ではあるが、若手・中堅の方が多い傾向にあった。
【開催日】2024年 7月 6日(土)
【開催形態】現地&オンラインのハイブリッド開催
※質疑は現地優先。オンラインはチャットでのみ質問可
【現地会場】大阪大学医学部保健学科棟(吹田キャンパス)第1講義室
【共 催】
- 応用物理学会放射線分科会医療放射線技術研究会
- 次世代のがんプロフェッショナル養成プラン
「地域に生き未来に繋ぐ高度がん医療人の養成」(大阪大学拠点代表)
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻「高度医学物理士養成コース」
JBMP認定医学物理教育コース)
【備 考】
- 応用物理学会将来基金からの開催補助有り(2. 中堅・若手会員向け支援事業)
- 現地参加者のみ、医学物理士認定機構の業績評価点の対象として出席証明書を発行(認定番号:JBMP-2024-F-01,認定コード:F1/F2)
【参加者】113名(現地・オンライン・講師・幹事等を含む)
【世話人】
- 西尾禎治(大阪大学), 眞正浄光(東京都立大学),歳藤利行(名古屋市立大学),田久創大(QST量医研), 松本真之介(東京都立大学)、勝木翔平(大阪大学)
プログラム】(簡略版)
13:00-13:05 | 開会の辞:西尾 禎治(大阪大学) |
13:05-13:45 | 講演1「PHITSの概要とその医学物理応用~データサイエンスとの接点を探して~」 講師:佐藤 達彦 先生(大阪大学・RCNP、原子力機構) |
13:45-14:25 | 講演2「Geant4/PTSIMの紹介と完全モンテカルロシミュレーションの役割」 講師:阿蘇 司 先生(富山高等専門学校) |
14:25-15:05 | 講演3「診断分野の医療データサイエンス」 講師:古徳 純一 先生(帝京大学) |
15:20-16:00 | 講演4「生成AIの最新動向と新しい活用」 講師:永田 毅 先生(明治学院大学) |
16:00-16:40 | 講演5「日本の医用画像データで医療AI/創薬AI革新を起こす」 Changhee Han (カリス) 先生(カリスト株式会社) |
16:40-17:20 | 講演6「AIと切り拓く未来のマルチモーダル診療」 講師:土井 健太郎 先生(医薬基盤・健康・栄養研究所) |
17:20-17:25 | 閉会の辞:豊川 秀訓(高輝度光科学研究センター、放射線分科会幹事長) |
「次世代放射線シンポジウム2024・第36回放射線夏の学校」実施報告
現地実行委員長 納冨昭弘(九州大学)
2024年8月16日〜18日に、福岡の志賀島で「次世代放射線シンポジウム2024・第36回放射線夏の学校」を実施いたしましたので、報告いたします。休暇村志賀島での実施は、18年前の第18回放射線夏の学校以来、18年ぶりの開催となりました。ここ数年、コロナの影響などで、Web開催や変則的な開催が続きましたが、今年度は久々に2泊3日の現地合宿の対面形式で計画しました。ところが、開催の直前に台風7号が東日本に急接近したため、初日の8/16に関東地方の空港を発着する飛行機が運休になることが危惧され、東海道新幹線は東京〜名古屋間を計画運休することがアナウンスされたため、東日本の参加者の九州移動ができなくなる可能性が浮上し、複数の参加者から、Webと対面のハイブリッド開催を要望するメールが寄せられました。そこで、8/15に急遽、Zoomのアカウントを設定し、参加者にメールで連絡して、ハイブリッド開催の準備を行いました。蓋をあけてみると、予想に反して飛行機もそれなりに運航され、参加予定74名の内、宿泊をキャンセルされた方は4名のみにとどまり、現地参加人数は70名となりました。宿泊をキャンセルされた4名のうち、3名の方はZoomで参加され、講義や発表を行ってくださったので、最終的な参加者は73名となり、盛会のうちに夏の学校を終えることができました。
今回の夏の学校は、開催地の志賀島が金印の発掘地であることにちなんで、「放射線の考古学利用」をテーマとして、講義を企画しました。名古屋大学の森島先生には、ミューオンを用いたピラミッド内部構造のイメージング考古学に関するたいへん興味深いご講演を頂きました。東京大学の松崎先生には、タンデム加速器を用いた炭素14の質量分析による年代測定について、基礎から応用まで詳細にお話頂きました。橿原考古学研究所の河崎先生には、文化財保護の現場で放射線を用いた分析手法が重要な役割を果たしていることを丁寧にご説明頂きました。また、SAGA-LSの廣沢先生には、放射光の産業利用や、X線蛍光分析による古磁器の産地同定、杉の品種改良への応用まで幅広い話題をご講義頂きました。
また、今回は夏の学校の一部として、共催学会である日本医学物理学会の公開市民講座が行われました。「医学物理学のすすめ」(筑波大・榮先生)、「物理工学が実現するマルチイオン治療」(QST・田中先生)、「XRの医療放射線分野への活用」(九大・藤淵先生)の3つの講演が行われ、いずれも医学物理に関する興味深い内容で学生さん達が熱心に聞いていたのが印象的でした。
今回は、久しぶりのフル開催となったので、かつての様な懇親会が復活し、夕食後、二晩にわたって、宿のはからいで大広間において盛大に飲み会を行うことができました。大いに盛り上がったため、宴会用に用意した飲み物が足りず、一晩で二晩分の量を飲み干してしまいました。そのため、二日目の自由時間に慌てて追加の買い出しに出かけましたが、それも完全に飲み尽くしてしまいました。懇親会の際には、研究室自己紹介やポスター賞の表彰式も行いました。講師の先生、教員、企業参加者、学生が入り乱れ、時には大広間に貼られたポスターの内容について議論するなどして、充分に懇親と交流が深められたと存じます。宴会は、深夜まで続き、大広間での飲み会がお開きになった後も、2次会を続けた部屋もあったようです。
以上、今回の放射線夏の学校について、簡単に報告いたしました。閉会式では、東京大の島添先生から、来年度は鎌倉で開催を計画している旨のアナウンスがあり、来年の再会を祈って、3日間の夏の学校を終了しました。今回、現地委員として準備をさせて頂きましたが、いろいろと不行き届きな点があったことが反省されます。それでも、一応、成功裏に終えられたのは、夏の学校WGの方々をはじめ皆様の御協力のおかげであります。この場を借りて、感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
次世代シンポジウム2024ホームページ
応用物理学会放射線分科会では、放射線の基礎および応用の研究に関する優秀な論文を表彰の対象とし、その著者に対して「放射線賞」を、また新進の若手研究者に対して「放射線奨励賞」を贈呈しております。つきましては、第31回「放射線賞」および「放射線奨励賞」の候補者を下記の要領で公募いたしますので、自薦、他薦を問わず、多くの方々からの応募を期待いたします。
募集要項
- 受賞者の資格
「放射線賞」:応用物理学会放射線分科会の会員とする。
「放射線奨励賞」:受賞者は放射線分科会会員とし、原則として公募開始日以降の4月1日の時点で40歳以下のものが受賞対象となる。なお、産前・産後休暇や育児休業の期間があり、その期間を除くことで40歳未満に相当する場合は有資格者とする。 - 表彰対象論文
「放射線賞」:放射線に関する研究の進展または技術の向上に多大な貢献をした成果で、原則として過去10年間に学術論文誌に論文として公表され、その内容を応用物理学会春季/秋季学術講演会にて発表したものを対象とする。受賞者は公募に応じた自薦および他薦の候補者から、応用物理学会 放射線分科会に継続的に貢献を行ってきた者を優先的に選考する。
「放射線奨励賞」:表彰の対象は放射線に関する独創的研究で、将来の研究の進展または技術の向上が期待される成果で、原則として過去3年間に学術論文誌に論文として公表され、その内容を応用物理学会春季/秋季学術講演会にて発表したものを対象とする。受賞者は公募に応じた自薦および他薦の候補者から選考する。
ただし、すでに公に顕著な賞を受けた業績については表彰対象としない。 - 件数
原則「放射線賞」、「放射線奨励賞」各々1件以内とする。 - 賞
表彰は賞状および盾の授与とする。 - 提出書類(いずれもpdfファイルで提出)
1)推薦書の電子ファイル(PDF)(推薦書には次の事項を記載する)
(1)業績の名称(業績の内容に相応しい簡潔な表題を記載する)
(2)受賞候補者(および研究協力者、研究指導者)全員の氏名と勤務先(または自宅住所、電話番号等)
(3)表彰候補論文名(タイトル、著者、雑誌名、巻、号、頁、年)
(4)応用物理学会春季/秋季学術講演会における表彰候補論文に関する発表実績
(5)推薦文(候補業績の特徴、優れた点などを600字程度でわかりやすく記述する)
(6)推薦者の氏名、勤務先、所在地、電話番号など(または自宅住所、電話番号等)
2)対象論文の電子ファイル
3)1)(3)に示した表彰候補論文以外に関連論文がある場合は、それらの電子ファイル(PDF) - 書類提出期限
2024 年12 月 27日 (金) 17:00 必着 - 書類提出先
電子メールで下記アドレスに送付すること。
(公社)応用物理学会 放射線分科会 放射線賞選考委員会 houshasenshou@jsap.or.jp - 授賞式
2025年「応用物理学会秋季学術講演会」期間中に行う。
なお、受賞者には記念講演、 ならびに、「放射線」での解説論文の投稿を必須とする。 - 放射線賞の規定については、下記URLを参照のこと。
https://radiation.jsap.or.jp/abouts/radiation-prize/
日頃より応用物理学会放射線分科会の活動に格別のご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。この度、ホームページを全面的にリニューアルしました。より使いやすいホームページとなるように、デザインとページの構成を見直し、新規機能を追加しています。これまで以上に、分科会会員及び放射線に関わる多くの皆さまに、有益な情報をお伝えできるように努めて参ります。
放射線分科会は、前身の放射線懇談会として1959年に連絡誌「放射線ニュース」を発行するなどの活動の後、1972年に初代幹事長森内和之先生 (電総研) のもと正式に発足した、応用物理学会のなかでも歴史のある分科会です。会誌「放射線」の創刊当時 (1974年) を振り返ると「放射線物理」の重要性が説かれてます。放射線と物質 (特に最新の機能材料) との相互作用の解明は、放射線計測としての応用を支える根幹であり、放射線分科会の「放射線物理」について総合的に深く議論できる事実上国内唯一の学術団体としての役割は現在も引き継がれてます。分科会発足から半世紀が経ち、その間、放射線応用は目覚ましい発展を遂げ、春秋の学術講演会でのテーマは、理工学、医学、生物学、農学、地質・鉱物学、考古学、水利・探査等に広がってます。放射線を利用する学協会としては、目的に特化した○○放射線学会・研究会も多く発足していますが、これらの分野の研究者・技術者が一堂に会して総合的に討論する講演会を開催し、相互の発展に貢献することも、応用物理学会に属する放射線分科会だからこそ出来る重要な役割です。
社会・環境・経済の課題が山積する今日、人々のクオリティオブライフの向上を目指すうえで、放射線の果たす役割は益々重要になってきています。次の半世紀を見据え、放射線分科会で築き上げてきた様々な研究成果や技術をさらに進歩させ、持続可能な社会の実現に積極的に貢献していく所存です。放射線分科会の最重要行事の一つとして、学生・院生等若手研究者が最先端の研究者と交流を持ち、放射線分野の将来を担う人材育成を目的として、毎年夏に2泊3日の合宿で次世代放射線シンポジウムを開催してます。分科会活動全般についてホームページをわかりやすく配信していきますので、多くの学生・研究者・技術者の諸行事へのご参加をお待ちしてます。
応用物理学会放射線分科会幹事長
豊川秀訓(高輝度光科学研究センター)