「次世代放射線シンポジウム2024・第36回放射線夏の学校」実施報告 – 2024.8.16-18
「次世代放射線シンポジウム2024・第36回放射線夏の学校」実施報告
現地実行委員長 納冨昭弘(九州大学)
2024年8月16日〜18日に、福岡の志賀島で「次世代放射線シンポジウム2024・第36回放射線夏の学校」を実施いたしましたので、報告いたします。休暇村志賀島での実施は、18年前の第18回放射線夏の学校以来、18年ぶりの開催となりました。ここ数年、コロナの影響などで、Web開催や変則的な開催が続きましたが、今年度は久々に2泊3日の現地合宿の対面形式で計画しました。ところが、開催の直前に台風7号が東日本に急接近したため、初日の8/16に関東地方の空港を発着する飛行機が運休になることが危惧され、東海道新幹線は東京〜名古屋間を計画運休することがアナウンスされたため、東日本の参加者の九州移動ができなくなる可能性が浮上し、複数の参加者から、Webと対面のハイブリッド開催を要望するメールが寄せられました。そこで、8/15に急遽、Zoomのアカウントを設定し、参加者にメールで連絡して、ハイブリッド開催の準備を行いました。蓋をあけてみると、予想に反して飛行機もそれなりに運航され、参加予定74名の内、宿泊をキャンセルされた方は4名のみにとどまり、現地参加人数は70名となりました。宿泊をキャンセルされた4名のうち、3名の方はZoomで参加され、講義や発表を行ってくださったので、最終的な参加者は73名となり、盛会のうちに夏の学校を終えることができました。
今回の夏の学校は、開催地の志賀島が金印の発掘地であることにちなんで、「放射線の考古学利用」をテーマとして、講義を企画しました。名古屋大学の森島先生には、ミューオンを用いたピラミッド内部構造のイメージング考古学に関するたいへん興味深いご講演を頂きました。東京大学の松崎先生には、タンデム加速器を用いた炭素14の質量分析による年代測定について、基礎から応用まで詳細にお話頂きました。橿原考古学研究所の河崎先生には、文化財保護の現場で放射線を用いた分析手法が重要な役割を果たしていることを丁寧にご説明頂きました。また、SAGA-LSの廣沢先生には、放射光の産業利用や、X線蛍光分析による古磁器の産地同定、杉の品種改良への応用まで幅広い話題をご講義頂きました。
また、今回は夏の学校の一部として、共催学会である日本医学物理学会の公開市民講座が行われました。「医学物理学のすすめ」(筑波大・榮先生)、「物理工学が実現するマルチイオン治療」(QST・田中先生)、「XRの医療放射線分野への活用」(九大・藤淵先生)の3つの講演が行われ、いずれも医学物理に関する興味深い内容で学生さん達が熱心に聞いていたのが印象的でした。
今回は、久しぶりのフル開催となったので、かつての様な懇親会が復活し、夕食後、二晩にわたって、宿のはからいで大広間において盛大に飲み会を行うことができました。大いに盛り上がったため、宴会用に用意した飲み物が足りず、一晩で二晩分の量を飲み干してしまいました。そのため、二日目の自由時間に慌てて追加の買い出しに出かけましたが、それも完全に飲み尽くしてしまいました。懇親会の際には、研究室自己紹介やポスター賞の表彰式も行いました。講師の先生、教員、企業参加者、学生が入り乱れ、時には大広間に貼られたポスターの内容について議論するなどして、充分に懇親と交流が深められたと存じます。宴会は、深夜まで続き、大広間での飲み会がお開きになった後も、2次会を続けた部屋もあったようです。
以上、今回の放射線夏の学校について、簡単に報告いたしました。閉会式では、東京大の島添先生から、来年度は鎌倉で開催を計画している旨のアナウンスがあり、来年の再会を祈って、3日間の夏の学校を終了しました。今回、現地委員として準備をさせて頂きましたが、いろいろと不行き届きな点があったことが反省されます。それでも、一応、成功裏に終えられたのは、夏の学校WGの方々をはじめ皆様の御協力のおかげであります。この場を借りて、感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
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